小説『蜜蜂と遠雷』の話題


架空のピアノコンクールに挑戦する若きピアニストたちの姿を描いた小説『蜜蜂と遠雷』(恩田陸、幻冬舎、2016)が直木賞と本屋大賞を受賞しました。昨秋、刊行された直後から、ツイッターでとても話題になっていたため、気になって(笑)、私もKindle版を買って読みました。コンクールの緻密な描写にあふれ、音楽愛やピアノ愛に満ちた作品を読んで感動したという感想が連日のようにツイッターに流れてきました。「この世界の片隅に」が封切直後から話題となった状態と少し似ているように感じていましたが(「この世界の片隅に」については少し前にブログにも書きました)、年が明けてから、話題が途切れるどころか、ますますその話題を頻繁に目にするようになったこと、さらには立て続けに大きな賞を受賞したという点でも、やはり何か共通性があるような気がします。

恩田さんは浜松国際ピアノコンクールをモデルにこの小説を書いたとのことですが、3年に1回しか開催される機会のないコンクールに4回通ったとか(12年!)、予選から毎日聴いたとか、音楽ファンとしても濃い話がインタビュー記事に載っていて驚きました。浜松のコンクールをモデルにしたという話は早くからいろいろな媒体に出ていたから、きっと大勢の関係者に大量の取材をしたのだろうなと想像しながら読みましたが(だって、そうとしか思えないよね?!)、インタビューによれば「関係者に話は一切聞いていない」(静岡新聞 2017.2.11)とのこと。

ところで、本屋大賞といえば、昨年の第1位『羊と鋼の森』(宮下奈都、文藝春秋、2015)は若きピアノ調律師を描いた小説でした。今年はピアノコンクールの小説が第1位。ちょっとおもしろい偶然です。

『蜜蜂と遠雷』
恩田陸 著
幻冬舎
発売日 2016年9月23日

『羊と鋼の森』
宮下奈都 著
文藝春秋
発売日 2015年9月11日

こちらはCD
「蜜蜂と遠雷 音楽集」(NAXOS)
2枚組/全19曲収録(コンピレーションアルバム)
恩田陸 書き下ろしエッセイ付
発売日 2017年5月26日

 
 
以下、書評や恩田さんのインタビュー記事の話題のツイートをまとめておきます。