【記録】ピリオド楽器によるシューマン夫妻の演奏会 - 浜松/東京 (続報)

【以下の内容は記録】

当サイトでお知らせした「クララのピアノ協奏曲(室内楽版) ピリオド楽器によるシューマン夫妻の演奏会 - 浜松/東京」の続報です。

■2008年 2月23日(土) 14:00開演
 アクトシティ浜松音楽工房ホール
 博物館レクチャーコンサート/静岡文化芸術大学文化芸術セミナー
 静岡文化芸術大学の室内楽演奏会3

■2008年 3月2日(日) 14:00開演
 第一生命ホール
 TAN's Amici Concert

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クララ&ロベルト・シューマン
愛、輝きと優しさ
クラヴィーア・アンサンブル グラーフのフォルテピアノとともに
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(出演)
(フォルテピアノ) 小倉貴久子
(ヴァイオリン) 桐山建志
(ヴァイオリン) 藤村政芳
(ヴィオラ) 長岡聡季
(チェロ) 花崎薫
(コントラバス) 笠原勝二

使用ピアノ: コンラート・グラーフ (1820)

チラシ(画像)

公演チラシ (PDF / 897 KB)

"A Plaza of Clara Schumann" の伊藤さんの掲示板にも簡単な報告を入れましたが、両公演とも聴いてきました。日ごろピリオド楽器によるシューマン演奏にはCDで親しんでいますが(ピアノ独奏、リート、コンチェルト、シンフォニーなど)、ナマで聴くのは実ははじめてでした(※注)

(※注) 訂正 2008.09.13 追記
上記内容を一部訂正します。フォルテピアノによるシューマンの演奏会、そういえば昔、聴きに行ったことがありました。昔のことですし、あれこれあって記憶から抜けていました。(デームスとウィーン・フィルのメンバーの室内楽演奏会で、デームスの独奏もあったかと思います。)

浜松の会場は楽器博物館の2階。小さいスタジオ風の会場でしたが、演奏者との距離が比較的近く、フォルテピアノを聴くのにはそこそこよいサイズの場所だと思いました(個人的にはもっと狭いところで聴きたかったくらいでしたが)。どうもチケットは完売していたようで、入ってみたら会場は満杯。小さい会場ながら大盛況でした。また開演前には楽器博物館館長の嶋和彦氏のお話、静岡文化芸術大学准教授の小岩信治氏によるプレトークがありました。

お話/プレトークの概要「このコンサートシリーズは静岡文化芸術大学の学生の実践教育の場ともなっていて、企画や運営を学生が主体となって行っている。また、この公演には愛知で音楽を学んでいる学生の参加を募い企画されたバスツアーが付随していて、そちらの企画や運営も学生が行っている。さらに平野昭氏による小学生のためのレクチャーが別室で行われており、大人向けのプレトークが終わったら小学生もこの会場に入ってコンサートを聴くことになるからご理解ください」云々。このほか、プレトークでは「シューマンって誰?」と思っている方たちにもよくわかるような内容の、丁寧に噛み砕かれたやさしい解説が含まれました。小岩さんがプログラムにお書きになっている「19世紀のピアノ付きアンサンブル音楽の魅力」と題された小文もとても興味深い内容です。

(写真)
浜松市楽器博物館

[浜松市楽器博物館 当サイト内に関連ページ]
 ・ 浜松市楽器博物館探訪 (2007.04.07)
 ・ 小さい写真帖 4 (2008.04.08)

東京公演は近場ということもあり、既に浜松でプレトークを聴いてしまっていることもあって、開演直前に会場に入りましたから、プレトークの内容はわかりません。でも、おそらくは浜松と同じく、とても噛み砕かれた内容のシューマン夫妻に関するレクチャーだったと推察しています。

コンサートでの演奏順は以下の通りです。

R・シューマン / 謝肉祭 op.9
C・シューマン / ピアノ協奏曲 イ短調 op.7 (室内楽版)
 (休憩)
R・シューマン / ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44

(アンコール曲)
ピアノ協奏曲のための断章 ヘ短調 (1847) 室内楽版
(未完のピアノ協奏曲の第1楽章)
(Konzertsatz f-moll (1847))

※謝肉祭はピアノ独奏、クララのコンチェルトはピアノ六重奏の編成。

※アンコール曲について: 演奏前の小倉さんの説明によれば、Beenhouwer 氏が補完オーケストレーションしたものの、さらにそのオーケストラ部分をヴァイオリンの桐山建志さんがヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1用に編曲したものだそうです。

 ・ この曲のCDの情報 (当サイトDB)
 ・ "A Plaza of Clara Schumann" の伊藤さんが作品の解説をお書きになっています。

このシリーズは毎回録音されてCD発売されているそうですが、今回は東京公演を収録してCD化する予定という説明がありました。クララのピアノ協奏曲の室内楽版のCDが出る(それも日本人演奏家の手で)というだけでも事件ですが、もしかしたらアンコールのクララの未完の協奏曲の室内楽版もCDになるかもしれないと思うと、期待も高まります。

この演奏会の企画はほかに類を見ないほど画期的であり、すばらしいものでした。19世紀の楽器でシューマン夫妻の作品に触れられたことは私にとっても意味のあること、そして深い体験でした。企画者、演奏者のみなさんに感謝したいと思います。


●追記 (2008.05.28)

楽器博物館のニュースにこのコンサートのことが出ていました。 (PDF)
ニュースレター がっきはく No.90 (2008.03.15)
浜松市楽器博物館だより No.51 (2008.04.10)


●追記 (2008.08.01)
浜松市楽器博物館の「館長の部屋」というページで、浜松公演の様子が動画で紹介されていました。全体で2分の動画ですが、演奏の一部も聴くことができます。

浜松市楽器博物館の「館長の部屋」


●追記 (2008.08.30)
8/30の日付でCDが発売されました! (詳細)