フォルテピアノが熱い! (3) アンドレアス・シュタイアー リサイタル、トーク・イベント、CD発売情報

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さて、ここで取り上げるフォルテピアノのコンサート、3つ目はアンドレアス・シュタイアーのトーク・イベント(東京)とオール・シューマンのリサイタル(東京、大阪)です。

シュタイアーがシューマンのピアノ協奏曲をフォルテピアノで録音したCD(ヘレヴェッヘ指揮)は、以前、当サイトの掲示板でもしばらく話題になりましたので、彼の名前をご記憶の方も多いことと思います。フォルテピアノでピアノ協奏曲を録音したほどシューマンに共感している(と思える)人なのに、リサイタルではシューマンは取り上げないんだな…というのがこれまでの私の彼に対する率直なイメージでした。このピアノ協奏曲のCDもすばらしいけれど、私の大好きなプレガルディエンとの共演による「詩人の恋」のCDがこれまたすばらしく、聴く度に新しい発見がありますから、彼がもしもシューマンの独奏曲を弾いたら、どんなにすばらしいだろうとこれまで想像してきました。その彼がいよいよシューマンの独奏曲を日本のリサイタルでも取り上げるというのですから、これは本当に楽しみです。

発表されたトッパンホールでのリサイタルのプログラムは「シューマン・プログラム ― J.S.Bachへのオマージュ、おとなのためのメルヘン」と題されたもの。トッパンホールのサイトや公演チラシなどによると、バッハ作品の影響を受けてシューマンが作曲した作品をつないで構築する「おとなのためのメルヘン」というのが企画コンセプトのようです。「こどものための」作品を散りばめられたプログラムはよく考えられた構成。冒険的でありながら渋い。けれど、「おとな」がじっくり楽しみつつ、ファンタジーの翼に乗って飛び立てそうだなと確かに思えます。

なお、トッパンホールのリサイタル前日(11/6(木))、シュタイアーによるトーク・イベントの開催が急遽決まったそうです。リサイタルのチケットを既に買われた方も、トッパンホールのウェブサイトでチェックしてみてください。 ( → シュタイアー トーク・イベント

また、この来日コンサートにあわせて、シューマンのCDが発売されました(10/17発売)。日本のアマゾンにはまだ出ていないようですが、ドイツ、フランスのアマゾンでは11月発売予定と出ていました。国内の大手CDショップのサイトでも検索可能なようです。

(CD)
アンドレアス・シュタイアー
「バッハに捧ぐ~シューマン:ピアノ作品集」
Harmonia Mundi (HMC 901989)

Andreas Staier
"Hommage A Bach"

(追記 2008.10.22)
CDを買ってきましたので後で詳細データを追加します。

(追記 2008.10.23)
新譜データをざっと簡単に掲載しました。

■アンドレアス・シュタイアー 東京公演

〈アンドレアス・シュタイアー プロジェクト 3〉
アンドレアス・シュタイアー フォルテピアノリサイタル
シューマン・プログラム
― J.S.Bachへのオマージュ、おとなのためのメルヘン
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(フォルテピアノ) アンドレアス・シュタイアー
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2008年 11/7(金) 19:00開演 トッパンホール
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(オール・シューマン)
こどものためのアルバム op.68 より
   第4番 コラール
   第14番 小さな練習曲
   第16番 最初の喪失
   第18番 草刈りの歌
   第27番 カノン風の歌
   第28番 思い出
   第23番 騎手の曲
   第30番 無題
スケルツォ、ジーグ、ロマンツェとフゲッテ op.32
(4つのクラヴィアシュテュッケ op.32)
フゲッタ形式の7つのピアノ小品 op.126 より
   第1番
   第2番
   第3番
森の情景 op.82
こどものためのアルバム op.68 より
   第42番 装飾的コラール
   第29番 異国の人
   第34番 テーマ
   第36番 イタリア人の船乗りの歌
   第39番 冬の季節II
フゲッタ形式の7つのピアノ小品 op.126 より
   第4番
   第5番
   第6番
   第7番
こどもの情景 op.15
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【予約・問い合わせ】
トッパンホールチケットセンター 03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/

●詳細 (リンク切れの場合あり)

■追記 (2008.11.26)

(アンコール、J.S.バッハ)
平均律クラヴィア曲集 第2部 24の前奏曲とフーガより ホ長調 BWV 878
教理問答書 コラールより 聖霊なる神よ (キリエ) BWV 672

※アンコールの演奏は3回。1回目に BWV 878 の 前奏曲を演奏、2回目にフーガを演奏、3回目に BWV 672 を演奏。

※使用楽器は10月に霊南坂教会でお披露目された伊藤深雪さん所有のクリストファー・クラーク製作(2007, フランス)のコンラート・グラーフ(1826, ウィーン)の複製。

■追記 (2009.02.18)

「三籟日記」関連記事を書きました。
2008年のコンサート まとめ (3)の(1) - シュタイアー祭り、フォルテピアノ祭り

■アンドレアス・シュタイアー トーク・イベント
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2008年 11/6(木) 19:00開演 トッパンホール
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(出演) アンドレアス・シュタイアー
(聞き手) 舩木篤也 (音楽評論家)
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【問い合わせ】
トッパンホールチケットセンター 03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/

●詳細 (リンク切れの場合あり)

■アンドレアス・シュタイアー 大阪公演

アンドレアス・シュタイアーがフォルテピアノで紡ぎ出す
"子供の情景~大人のメルヘン"
J.S.バッハに触発されたオール・シューマン・プログラム
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2008年 11/11(火) 19:00 ザ・フェニックスホール
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(フォルテピアノ) アンドレアス・シュタイアー
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(オール・シューマン)
こどものためのアルバム op.68 より
スケルツォ、ジーグ、ロマンツェとフゲッテ op.32
(4つのクラヴィアシュテュッケ op.32)
フゲッタ形式の7つのピアノ小品 op.126 より
森の情景 op.82
子供の情景 op.15
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【問い合わせ】
おふぃすベガ 0798-53-4556
http://www.office-vega.net/

●詳細 (リンク切れの場合あり)
●詳細 (ヤマモトコレクション) (大阪公演の使用楽器が記載されています)
●ザ・フェニックスホール

【備考1】
シューマン・プログラム以外にも、クリスティーネ・ショルンスハイムとの共演によるフォルテピアノ&チェンバロのデュオコンサートがあります。( → 詳細

【備考2】
これまでに発売されたシュタイアーのシューマンのCD

詩人の恋 op.48 (ハイネ)

rec. 1993/11/29-12/02, Maximiliansaal Hamm
使用楽器: Johann Fritz, Wien ca.1825

アンドレアス・シュタイアー (pf.)
クリストフ・プレガルディエン (tn.)

Andreas Staier, pf.
Christoph Pregardien, tn.

deutsche harmonia mundi [05472 77319 2]
BMG JAPAN [BVCD-38232]

ピアノ協奏曲 イ短調 op.54

rec. 1996/01, Studio 103 de la Maison de Radio France, Paris
使用楽器: J.B. Streicher ca. 1850.
                Edwin Beunk Collection

アンドレアス・シュタイアー (pf.)
フィリッペ・ヘレヴェッヘ (cond.)
シャンゼリーゼ管弦楽団

Andreas Staier, pf.
Philippe Herreweghe, cond.
Orchestre des Champs Elysees

harmonia mundi [HMC 901555]
harmonia mundi [HMA1951731]

■関連リンク
http://www.andreas-staier.de/
http://www.harmoniamundi.com/

(追記 2009.08.03)
「CDジャーナル」 2009年6月号 に 音楽評論家の松本學氏によるシュタイアーのとても興味深いロング・インタビューが掲載されています。シューマンについてたくさん語っている内容です。「CDジャーナル」のサイトでも読めるようです(有料)。

CDジャーナル