スダーン/東京交響楽団 2009-2010年のシーズンはシューマンとブラームスがテーマ

昨シーズン、シューベルトを集中的に取り上げ、各方面から高い評価を受けたスダーン率いる東京交響楽団が、今シーズンはシューマンとブラームスをテーマに多彩なプログラムを組んでいます。

私がスダーンの指揮で東京交響楽団をはじめて聴いたのは2000年7月のサントリーホールでブルックナーの9番が演奏された時でした。その直前、朝比奈隆の同じ曲を2日続けてNHKホールで聴いて、その壮大なスケールに深く感動したのですが、あのような世界を凌駕する9番など、私はもう体験できないのではないかと思っていたにもかかわらず、その少し後に聴いたスダーンの9番の壮大重厚な世界に圧倒され、深い感銘を受けました。私はその日、前半の庄司紗矢香さんのヴァイオリン協奏曲を聴くために出かけたのでしたが、「ブルックナーにやられた!」という状態、終演後、しばらく席から立てないほど深く感動しました。それ以来、「いつか、この指揮者のシューベルトの『グレイト』とシューマンを聴くことができたらいいなあ!」と夢に思い描いていました。幸いにして、その夢は数年の時間を経て既にかないましたが、グレイト(東響@サントリーホール)もシューマンのピアノ協奏曲(ピアノ/伊藤恵、広響@広島厚生年金、東響@ミューザ&りゅーとぴあ)もいずれも私の予想をしのぐ見事な演奏でした。ですから、スダーンの手兵たる東京交響楽団が今年度はシューマンとブラームスをテーマとして年間のプログラムを組んだと知った時は、「これは本当に楽しみだ」と思いました。シューマンが取り上げられる公演のすべてを聴くことはスケジュール的にちょっと難しいとしても、なるべくたくさん聴きに行けたらいいなあと今から楽しみにしています^^

発表されているプログラム中、もっとも興味深いのは、これまで首都圏のプロオケのプログラムでは見かけた記憶が希薄なマーラー版の交響曲が取り上げられるという点、それ以外で目を引くのがラヴェル編「謝肉祭」が取り上げられるという点でしょうか。ブラームスやマーラーといった「関係者」の作品とのプログラミングというのも、私には興味深く感じられます。
(「4つのホルン」のソリストにベルリン・フィル首席のシュテファン・ドールの名前があったのでびっくりしています…)

シーズンのオープニングを飾る「特別演奏会」というのも開催されるそうですが、(下のリンクにある)産経の記事を見ると、壇ふみさんとスダーンさんが解説をするというようなことも書かれているので、どんなコンサートなのかなあと想像しているところです。 (聴いて参りましたので後でどこかに簡単なレポートを掲載したいと思います。 2009.04.07 追記)

写真

→ 東京交響楽団
→ 2009シーズンに寄せて (ユベール・スダーン)

※関連記事がネットに掲載されていました。
 ・ 【舞台通信】東京交響楽団音楽監督、ユベール・スダーン (産経)
 ・ Soudant to navigate worlds of Schuman, Brahms (Daily Yomiuri)

※当サイト内の関連記事
 ・ 東京交響楽団 スダーン指揮のマーラー版 続報
 (シューマンおたく学会ニュース 2009.05.09)

※シューマンが演奏される公演のみを以下にまとめてみました。

●特別演奏会 サントリーホール → 詳細


2009 4/6(月) 7:00p.m.
東京交響楽団特別演奏会  2009シーズンオープニングナイト
~シューマンとブラームスの世界~


(指揮) ユベール・スダーン
(ピアノ) 伊藤恵
(ソプラノ) 菅英三子
(バリトン) 甲斐栄次郎
(語り) 檀ふみ
(合唱) 東響コーラス
(合唱指揮) 大谷研二

(第 I 部)
(オール・シューマン)
色とりどりの小品 op.99より
  3つの小品 
  5つのアルバムの綴りより I, II
幻想曲 ハ長調 op.17 より
歌曲集「女の愛と生涯」 op.42 より 「私の指にはまっている指輪よ」
歌曲集「ミルテの花」 op.25 より 「献呈」

(第 II 部)
ブラームス / ドイツ・レクイエム op.45

※(追記 - 2009.04.07)
スダーン氏の演出上の希望により、演奏曲目に変更があり、op.99 は 「3つの小品」の第1曲のみの演奏となりました。 (op.99-1 がスダーン氏の少年時代の思い出の曲なので、特にこの1曲からシーズンをはじめたいと思ったので変更した云々との説明がスダーン氏本人よりあり。)


●サントリーホール定期演奏会 → 詳細


2009年 5/9(土) 6:00p.m. 第567回 定期演奏会
指揮=ユベール・スダーン
ヴァイオリン=インゴルフ・トゥルバン
チェロ=ウェン=シン・ヤン
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ブラームス:悲劇的序曲 作品81
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
シューマン:交響曲 第1番 変ロ長調「春」作品38 (マーラー版)


2009年 6/13(土) 6:00p.m. 第568回 定期演奏会
指揮=シュテファン・アントン・レック
チェロ=ダニエル・ミュラー=ショット
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シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 作品129
マーラー:交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」


2009年 7/12(日) 2:00p.m. 第569回 定期演奏会
指揮=ユベール・スダーン
ピアノ=ホン・クヮン・チェン
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ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 「ライン」作品97(マーラー版)


2009年 9/26(土) 6:00p.m. 第570回 定期演奏会
指揮=秋山和慶
ピアノ=小山実稚恵
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シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27


2009年 10/25(日) 2:00p.m. 第571回 定期演奏会
指揮=大友直人
ヴァイオリン=大谷康子
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シューマン:劇音楽「マンフレッド」序曲
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61
ベルリオーズ:幻想交響曲-ある芸術家の生涯のエピソード-作品14


2009年 11/7(土) 6:00p.m. 第572回 定期演奏会
指揮=ユベール・スダーン
ピアノ=ゲルハルト・オピッツ
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ブラームス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15
シューマン:交響曲 第2番 ハ長調 作品61(マーラー版)


2010年 1/8(金) 7:00p.m. 第574回 定期演奏会
指揮=大友直人
ピアノ=キャサリン・ストット
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シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ 作品52
フィトキン:ピアノ協奏曲(委嘱新作、初演)
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92


2010年 2/27(土) 6:00p.m. 第575回 定期演奏会
指揮=ラモン・ガンバ
ホルン=シュテファン・ドール、竹村淳司、ジョナサン・ハミル、上間善之
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シューマン/ラヴェル編:「謝肉祭」作品9より
   "前口上""ドイツ風ワルツ""間奏曲「パガニーニ」"
   "ペリシテ人と戦うダーヴィド同盟の行進"
シューマン:コンツェルトシュテュック 作品86
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(全曲版)


2010年 3/27(土) 6:00p.m. 第576回 定期演奏会
指揮=ユベール・スダーン
ヴァイオリン=ヴァレリー・ソコロフ
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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
シューマン:交響曲 第4番 ニ短調 作品120(マーラー版)


●川崎定期演奏会 → 詳細
 (ミューザ川崎シンフォニーホール)


2009年 7/11(土) 6:00p.m. 川崎定期演奏会 第21回
指揮=ユベール・スダーン
ピアノ=ホン・クヮン・チェン
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ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 「ライン」作品97(マーラー版)


2009年 9/27(日) 2:00p.m. 川崎定期演奏会 第22回
指揮=秋山和慶
ピアノ=小山実稚恵
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シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27


2010年 2/28(日) 2:00p.m. 川崎定期演奏会 第24回
指揮=ラモン・ガンバ
ホルン=シュテファン・ドール、竹村淳司、ジョナサン・ハミル、上間善之
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シューマン/ラヴェル編:「謝肉祭」作品9より"前口上""ドイツ風ワルツ"
   "間奏曲「パガニーニ」""ペリシテ人と戦うダーヴィド同盟の行進"
シューマン:コンツェルトシュテュック 作品86
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(全曲版)


●新潟定期演奏会 → 詳細
 (りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館)


第54回 2009年6月14日(日) 17:00~
シュテファン・アントン・レック(指揮)
ダニエル・ミュラー=ショット(チェロ)
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シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 作品129
マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」


第56回 2009年11月8日(日) 17:00~
ユベール・スダーン(指揮)
ゲルハルト・オピッツ(ピアノ)
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ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 二短調 作品15
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 作品61(マーラー版)